【管理栄養士】委託給食会社に10年勤め感じたメリット・デメリット

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管理栄養士の養成学校に入学し、卒業するときに考えるのが資格を活かし直営で就職するのか、まずは現場で経験を積むため委託の栄養士として給食会社を探すのかを考えますよね。委託給食会社は栄養士の就職先として多く、直営を目指していてもひとまず会社説明会などに参加し滑り止めのような感覚で試験を受けられるのではないでしょうか。
しかし、委託の給食会社ってあまりいいイメージがなく不安に思っている方も少なくないですよね。この記事では新卒で管理栄養士として委託給食会社に入社し約10年働いて感じた、“管理栄養士として働く委託給食会社のメリット・デメリット”と“こんな人は直営、こんな人は委託がいいのでは?”という私なりの意見も交えながら解説していきます。迷った時の判断材料や不安の解消に繋がれば嬉しいです。

                    目次
          委託給食会社のイメージが悪い理由【デメリット】
               委託給食会社のメリット
             委託給食会社の最大のメリット
      直営向きか委託向きか【管理栄養士として自分がやりたいことは?】
               委託給食会社はブラック?
               委託管理栄養士の仕事内容
               直営管理栄養士の仕事内容

委託給食会社のイメージが悪い理由【デメリット】8つ


  • 365日休みがない
  • まとまった休みが取りづらい
  • GW、お盆、正月関係なく勤務
  • 勤務時間が一定ではない
  • 長時間勤務がある
  • 急なシフト変更がある
  • 異動がある
  • 立場が弱い

365日休みがない
学校や保育園、幼稚園、デイサービスは別ですが、病院や特養、老健での勤務の場合朝、昼、晩365日食事を提供しなければなりません。自分の休みが全くないというわけではありませんが、自分の休みの日も稼働しているとなると何かアクシデントが起きた際には電話があったり、たまには呼び出されたり…気が休まらない感じは多少あります。

まとまった休みが取りづらい
シフト制で月の休日が何日と決まっていることが多いので、連休を取ってしまうと後が連勤になってしまい大変です。特に栄養士は事務作業を請け負っていることが多いので、休んだ分事務が溜まってしまい処理が大変になるためなかなかまとまった休みをとれない傾向にあることが多いです。しかしこれは周りの人の協力で何とでもなる問題だと思います。いざというとき協力してもらえるよう日々のコミュニケーションを大切にしましょう。

GW、お盆、正月関係なく勤務
冒頭でも述べたように食事というのは365日欠かすことのできないものです。多くの人が休んでいる間も、連休も関係なく働かなくてはいけません。もちろんこれも配属先の状況次第ですので一概に休みが取れないというわけではありません。

勤務時間が一定ではない
朝食、昼食、夕食と提供があるため早番、中番、遅番といった様々な勤務シフトがあるかと思います。配属先の規模によりますが、食数の多い施設では早いと朝の4時に出勤なんていうシフトもあります。また早番ばかり、遅番ばかりというような一定のシフトではなく社員である場合にはパートさんの希望休や勤務形態を優先せざるを得ないので様々な時間帯の勤務となることがほとんどです。

長時間勤務がある
急な欠員や慢性的な人員不足により一人の一日の勤務時間が8時間以上の勤務となることがあります。

急なシフト変更がある
出勤するはずだった従業員が体調不良などで欠勤したり、不幸があり長期欠勤したり、怪我で働けなくなり欠員が生じたり…どの職場でも起こりえることではありますが、食事を提供する現場ではその日にはこれだけの人数が居ないと食事の提供ができないという絶対数があります。そのためイレギュラーな事態が起こった場合には予定されていたシフトからの変更もあります。また近隣の事業所で同じような事態が起きた場合にも、その事業所のみで対応しきれないときには応援協力を依頼され、自分の事業所の欠員等がなくでもシフトの変更がある場合があります。

異動がある
委託給食会社は多くの事業所を持っています。派遣とは違うのですが、イメージとしては派遣のようなものです。同じ会社にいながら働く場所は別々で、事業所が変われば衛生面等の基本のルールは同じですが、細かいルールは違います。異動の理由は様々ですが、異動があると事業所の雰囲気も変わり、覚えることも多くあります。

立場が弱い
委託給食会社にとって病院や介護福祉施設などの受託先はお客様です。実際にどちらが上とか下とかそんなものはなく対等な立場のはずなのですが、やはりお客様あってのことなので要望があればできる範囲で対応するのはもちろんですが、やって当たり前のようなお客様も少なからずいます。その要望が現場の負担にならないもの、また契約金額内で収まるものであればいいですが、そうでない場合いかに代替案が出せるか、収支の合う提案ができるかは委託側の力量にかかってきます。

委託給食会社のメリット 7つ


  • 平日休みが取れる
  • 連勤が少ない
  • 早く帰れる日もあれば遅くまで寝られる日もある
  • イレギュラーは団結力を高める
  • 会社を辞めることなく環境を変えることができる
  • 仕事内容が様々で飽きない
  • たくさんの知り合いができる

平日休みが取れる
シフト制であることが多いため、どこに出かけるにも込み合う土日ではなく平日に出かけることができ買い物や観光などスムーズにできます。旅行へ行くのも平日なら比較的低価格の設定になっておりお得感もあります。

連勤が少ない
逆に言うと連休も少ないかと思いますが、連休が少ない分連続勤務も少なくなるので厨房での食事提供で時間に追われての作業になるので身体的・精神的に楽だと思います。事務作業のみであれば平日勤務し土日で連休という形がベストかと思いますが、体力を使う厨房の業務はその勤務形態ばかりだと大変だと思います。

早く帰れる日もあれば遅くまで寝られる日もある
シフト制のため様々な勤務パターンがあり、時間の固定は難しいです。しかし様々な時間帯の勤務があることにより例えば休みの次の日が遅番であれば休みの日を遅くまでめいっぱい楽しめたり、早番で14時に上がれたとして、病院に行きたいなと思えばそのためにわざわざ休みを利用しなくても午後の受診に行けたりとバラバラな勤務形態でも考え方によってはメリットになります。

イレギュラーは団結力を高める
根拠はありませんが(笑)経験から感じただけの話になってしまいますが、例えば欠員が出て、連勤になったり近隣の事業所から応援をもらったり、連勤の上に長時間勤務になったりしたときにあの人が頑張ってるから助けようとか、隣の事業所が大変らしいからシフト組みなおして応援出せないかとか、いろんな対策が取られます。ここで同じ会社でありながら初めて会う人もいて、知り合いが増えていきます。そしてイレギュラーな事態を乗り越えてもなお不測の事態は常に起こるものです。その時に以前会った人と再会したりまた新しい人と出会ったり、その際には前にもこんなことあったよね、大変だったよね、あの時もこんな風に乗り切ったよねとコミュニケーションの幅が広がります。何事もなければ出会わなかった仲間と出会い、ピンチを共に乗り越えたと思うと自然と親近感も生まれ不思議と達成感も得られるような気がします。

会社を辞めることなく環境を変えることができる
委託給食会社は派遣ではないが派遣のようなシステムです。従業員が全員同じ場所で働くのではなく病院や介護福祉施設、学校、保育園などいろいろな施設の厨房業務を受託しているため働く場所も様々です。仕事の内容も食事提供のみの場合や献立作成や発注業務まで全般の場合もあります。そしてそこで働く人も様々で、時には人間関係がうまくいかなかったり、献立作成がしたいのに自分の配属された事業所では事務業務がなかったり、はたまた調理がしたいのに調理師がいるため栄養士には調理業務が回って来なかったりと働いていくうちにいろいろな問題が出てくると思います。そんな時、普通であれば転職をしないと環境は変えられませんが委託給食会社の場合は各地に様々な事業所があるため会社を変えることなく職場環境を変えられます。もちろん頻繁に各々の都合での異動希望は受け入れられませんが、自分ではどうにもできない理由や前向きな理由での異動希望であれば受け入れてもらえ環境の変化も可能であると思います。

仕事内容が様々で飽きない
実際にお客様に食べていただく食事を作る調理業務から献立発注などの事務業務、管理部門では収支の管理や人員配置の検討、ルール作りなど仕事の内容はとても幅広いです。

たくさんの知り合いができる
事業所が各地にあり従業員も少なくないので、会議や応援、異動があるとその度に知り合いが増えていきます。顔は知らないと言っても同じ会社の仲間で目標や基本の食事提供という仕事は同じなので会えば話のネタも途切れることはないでしょう。その際の情報交換を行いそこからまたその人を介して知り合いが増えたりと無限です。知り合いが増えれば頑張る糧になり、いろいろな情報が入ってきて働きやすくもなります。また気の合う仲間ができたなら、配属事業所が違えば休日の予定も合わせやすいでしょう。一緒に出掛けたり…同じ環境で、同じ目標に向かっている仲間がいると仕事も楽しくなるはずです。

委託給食会社の最大のメリット


自分の作った食事を食べてもらえる。その反響が直に届く。

約10年間委託給食会社の管理栄養士として働いてきて、一番のメリットはこれです。栄養指導をしてその患者様や利用者様の栄養状態が改善した、自分の考えた行事食が好評だった、これももちろん嬉しいしやりがいも感じられると思います。しかし自分の作った、味をつけた、特に行事でもなんでもない日々の食事に対し今日のごはんはおいしかった!味付けが丁度良かった!毎日おいしい食事をありがとう!と下膳のときに直接顔を見て言葉をもらったときには本当に嬉しかったし、一番やりがいを感じた瞬間でした。またおいしいって言って欲しいし、この人達に危険な食事は出せない、安全でかつおいしい食事を提供しなくてはと気持ちも引き締まりました。ありきたりと思われるかもしれませんが、実際に経験するとわかってもらえるかと思います。

直営向きか委託向きか【管理栄養士として自分がやりたいことは?】


✓一人ひとりと向き合い健康を管理したい→直営
✓みんなに喜んでもらえるおいしい食事を提供したい→委託
✓どちらも同時に経験したいのであれば、厨房業務も直営でやっている施設を選べばOK

一人ひとりと向き合い健康を管理したい【直営】
栄養指導やNST(栄養サポートチーム)など患者様や利用者・入居者様と直接触れ合い食事の面から健康を管理したり、治療をしたり…一人ひとりに適切なサポートをしていきたい人は病院や介護福祉施設側(直営)の管理栄養士が良いでしょう。

みんなに喜んでもらえるおいしい食事を提供したい【委託】
日々の献立作成や行事食を企画し、実際に自分で調理したり盛り付けをした食事をお客様に食べてもらい、喜んでもらいたい人は委託給食会社への入社をおすすめします。

どちらも同時に経験したいのであれば、厨房業務も直営でやっている施設を選べばOK
厨房業務を委託しておらず、直営で運営している病院・施設もたくさんあります。そこに入社すればどちらの業務もできるので知識もスキルも同時に身に付きとても勉強になると思います。また事務側も現場側も経験できお互いの立場の気持ちがわかるので、提案が一方的にならず円滑に業務が進むと思います。

委託給食会社はブラック?



委託給食会社=ブラックというイメージが今も昔も強いですね。しかし、私はブラックとは思いません。白みの強いグレーくらいだと思います(笑)上記のデメリットでも述べたように食事は365日3食欠かせません。有給も確かに取りづらい雰囲気もあります。現場の業務が多く事務の時間が取れないことも。ブラックと言われる理由はそのあたりかなと思います。しかし、この業界に入ろうと思うならある程度分かった上で入るべきだと思います。何を持ってブラックというかは人によると思いますが、仕事を覚えるのに自主的に残ってやったり早く来てみたり…それに対して残業が付くか付かないか、覚える作業や作業を減らす仕組みを考える時間を仕事としてとらえるか自分のために自分が勝手にやってることととらえるか、この辺に答えはなく、価値観によるとしか言えませんね。会社によっても考え方やルールが違うと思うので、価値観の合う会社を探してください。

委託管理栄養士の仕事内容


  • 調理
  • 盛り付け
  • 入れ込み
  • 食器洗浄
  • 献立
  • 発注
  • 検品
  • 衛生管理
  • 運営管理
  • その他事務作業

一言で言うと円滑に、安全でおいしい、契約金額内での栄養価の担保された食事の提供になります。栄養士は食事提供に関わる業務全般をします。委託の形態や施設の規模により業務が分かれている場合もあります。規模が小さければ小さいほど業務全般をやることになると思います。規模が大きければそれだけ従業員も多いので作業が分担されていることが多いです。
栄養士も管理栄養士も仕事内容は変わりません。会社によって金額は異なりますが、資格手当があり管理栄養士のほうがお給料はその分高くなります。

直営の管理栄養士の仕事内容


  • 栄養指導【病院】
  • 栄養ケアマネジメント【介護福祉施設】
  • 勉強会への参加
  • 栄養書類・献立の確認
  • 食堂運営の管理
  • 施設と委託の橋渡し

委託側と違い一人ひとりと接することが多く、コミュニケーション能力が求められます。施設側と委託側の連絡通路のような役割もあるので板挟みになることも少なくないようです。また法律の改定や栄養基準値の改定など食事に関わる勉強会などにも積極的に参加し、知識を深めたり情報交換をしたりして常にアップデートが必要です。直営の仕事は一人ひとりの栄養状態の分析と身体状況の把握、要望を吸い上げ献立へ反映など、食堂運営含む食事の管理全般となります。

まとめ



委託と直営、どちらがいいとか悪いとかそういうことではありません。委託には委託の、直営には直営のメリット・デメリットがあります。自分にはどちらが合うか、何を重視するのかを明確にして選択して下さい。

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