お正月と言えば何を思い浮かべますか?私は“おせち”と“福袋”です!
そこでふと疑問が…
おせちっていつからあるのか。なんでお正月に食べるようになったのか。よろこんぶで昆布巻き、子孫繁栄で数の子など食材には意味があるのは知ってるけど全部に意味があるのか。ルールはあるのか。
日本伝統の行事食なので最低限は知っておきたい!と思い、今回は
・初心者が作る3段重のおせちレシピ
この2点について解説します!
何となく分かっているつもりだけど詳しい由来や意味は知らないな~…ということでこの機会に勉強したいと思います。
おせちはお店のものを購入する方、手作りするものもあればお店で買うものもある方、全て手作り!という方それぞれあるかと思います。
恥ずかしながら私は30代に突入した時に初めておせちを作りました(汗)30代に突入したとたんに今まで全く興味のなかったおせち作りに興味が湧きました。
“日本人として日本の伝統のおせちを知らないって恥ずかしいよな~…”と思ったのと、
“おせち作れるってなんかかっこいいな!”という単純な理由で友人にレクチャーを依頼しました。(笑)
今年で2回目の作成となり、2回とも友人に助けてもらいながら作らせていただきました(感謝)おせち作り初心者の私が何とか作り上げることができたおせち…来年こそは一人で出来るように復習も兼ねて今回実際に作ったおせちのレシピをご紹介しますので、ぜひご覧ください!
おせちを食べるのはなぜ?
おせちはなぜ・いつから始まった?
おせち料理の歴史は非常に古く、弥生時代にまでさかのぼります。
狩猟生活から稲作へと食料の獲得方法が変わったこの時代から、自然の恵みに感謝する儀式が行われるようになりました。
“御節(おせち)”とは元旦や五節句(1月7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日)の節目のことをいい、その季節の節目ごとに節会(せちえ)という宴を開くようになります。その宴の際に自然の恵みや収穫に感謝し食べた料理を“節供(せっく)料理”といい、神様へのお供え物は「御節供(おせちく)」と呼ばれ、これが現在のおせちの原点となります。
おせちは元々お正月だけに食べるものではなかったんですね!
おせちは縁起の良い食べ物
お正月にやると縁起が悪いとされていることがあります。
・刃物を使うこと
お正月には火の神(荒神)を休ませるため、また灰汁(悪)を出さないようにとの考えから火を使うことを極力控えたほうが良いとされています。
刃物はその一年の良い縁を切ってしまうとされ、ハサミやカッターなどの刃物もできるだけ使わないようにとの考えがあります。
お正月にはなるべく家事をせず、ゆっくり過ごせるようおせちはできています。
基本的におせち料理の中には生の具材は入っておらず、比較的日持ちする具材が多いです。
ある意味、おせち料理は保存食とも言えます。
一年で一番おめでたいお正月くらい主婦もゆっくり休めるようにおせち料理を作るという意味もあると言われています。
おせちのルール
本来は五段重が基本です。
重箱に詰めるのは“福を重ねる”“めでたさを重ねる”という意味があり、振舞いやすさや保存のしやすさといった機能的な理由もあるようです。
・祝い肴【数の子・田作り・黒豆など】
・焼き物【鰤・鯛など】
・煮物(煮しめ)【蓮根・里芋・くわい・ごぼう・海老など】
・酢の物【なますなど】
各段に詰める内容も決まっており、料理の種類や個数は1,3,5,7,9などの吉数(奇数)で詰めると縁起が良いとされています。
二の重:焼き物
三の重:煮物(煮しめ)
与の重:酢の物、和え物
五の重:控えの重
一の重は一番上の段で正月にふさわしい祝い肴を詰めます。関東圏では黒豆、数の子、田作り、関西圏では黒豆、数の子、たたきごぼうの祝い肴三種は欠かせないものとされています。
二の重には縁起のいい海の幸を、三の重には家族が仲良く結ばれますようにとの思いを込めて山の幸を中心に煮しめ詰めます。
四は忌み数字のため使わず“与”とします。また五の重は年神様から頂いた福を詰めるため空のままにしておくか、家族の好物や予備の料理を入れます。
おせちの食材に込められた意味
おせちのお重に詰められた食材にはそれぞれ意味があります。
今回は実際におせちを作ったときに入れた食材を中心に食材の意味をご紹介します。
【数の子】
数の子は魚卵の多さから「子孫繁栄」の願いが込められています。
たらこでもいくらでもなく、にしんの魚卵が選ばれるのは「二親(にしん)」という当て字から「夫婦仲円満」の願いも込められています。
【黒豆】
忠実と書いて「まめ」と読みます。
まめ(勤勉)に働き、まめ(丈夫で元気)に暮らせますように、との願いが込められています。
【栗きんとん】
きんとんは漢字で書くと「金団」です。字の通り金色に輝く財宝をイメージして、「豊かな1年になるように」との願いが込められています。
【伊達巻】
巻物の形をした伊達巻から連想されるのは書物や掛け軸。知識や文化の発達を願い「学業成就」の意味が込められています。
【田作り】
昔は高級な肥料としてイワシが用いられていたことから「五穀豊穣(穀物が豊かに実ること)」を祈願。また五万米(ごまめ)とも呼ばれ豊作を願っています。
【紅白かまぼこ】
半円形の形から日の出を象徴している。紅白はおめでたい色という印象ですが、紅は邪気を払う魔除け、白は清らかな心を表す清浄の意味が込められています。
【昆布巻き】
語呂合わせで「よろこぶ(喜ぶ)」、「よろこぶ(養老昆布)」=不老長寿の意味から縁起がいいとされています。また「子生(こぶ)」とも表され、子孫繁栄の意味も込められています。
【なます】
根菜のように根を張るように。また祝いの水引の印象から縁起が良いとされています。
【鰤】
出世魚のため立身出世を祈願しています。
【煮物】
・蓮根
蓮根の穴をのぞき込むとその先が見えることから“先の見通しが明るくなるように”との意味が込められています。
・里芋
里芋は収穫してみると一つの里芋から小芋が連なって収穫されることから「子孫繁栄」を祈願。
・くわい
最初に大きな芽が出るくわいは目が出る=出世を祈願しています。調理のときにはきんとん同様クチナシの実を使って黄色に着色し金銭的な豊かさを表し祈願します。
・ごぼう
“地中に長くまっすぐに根を張る”ことから縁起が良いとされています。
・海老
海の老人と書いて“海老”。長いヒゲと加熱すると腰が曲がるようなイメージになることから“腰が曲がるまで長生きできますように”と長寿の願いが込められています。
初心者おせちのレシピ紹介
ここからは実際に作ったおせちのレシピをご紹介します。(写真にあってレシピ紹介にないおせちは市販のものを使用しました)
・黒豆
黒豆は煮るのに時間がかかるため最初に火にかけその間にほかの作業をすると効率的!しかし火の調節や温度調節がいるのでほかりっぱなしというわけにはいかないのでご注意を!
水 1400ml
塩 小さじ1
重曹 小さじ1(豆を柔らかくするため)
鉄玉or錆びた釘(鉄鍋なら不要、黒くきれいに仕上がる)
*味付け用調味料↓
水1000ml
砂糖 200g
【作り方】
1. 豆を軽く洗う。
2. 水、塩、重曹を合わせ豆と鉄玉を入れ12時間以上漬け込む。
3. 鍋で漬け込んでいればそのまま沸騰するまで強火にかけ、別の容器で漬け込んでいれば鍋漬け込んだ水も一緒に移し沸騰するまで強火にかける。(吹きこぼれ注意)
4. 沸騰してきたら(白い泡がもこもこしてきたら)弱火にし、中央に穴をあけたキッチンペーパーで豆を覆う。
5. 泡が溢れないよう泡を消しながら火加減を調節し、湯が少なくなったらお湯が豆に直接あたらないよう鍋の淵にかけながら足す。(湯から豆が出てしまうと豆の表面がしわしわになってしまうので注意!)お湯の量に注意しながら約3時間煮る。
6. 豆が柔らかくなったことを確認したらザルにあけボールを下にかませて水を豆にあてないように洗う。(目安は5回!豆についた余分な成分を洗い流します)
7. 洗いあがった豆と豆が浸るくらいの水を鍋に入れ火にかける。(豆の温度を上げるため5分程度温める)
8. 別の鍋に水1000mlと砂糖200gを入れ火にかけて溶かす。(今回砂糖の量は豆と同量で作りましたが甘さ控えめでした。甘めがお好きな方はもう少し砂糖多めが良いと思います!)
9. 温めた豆をザルにあけ、砂糖の溶けた鍋に入れ火にかける。フツフツしてきたら弱火にし、灰汁をとりながら10分煮る。
10. 10分煮たら火を止め粗熱をとる→10分煮る→火を止め粗熱をとるを繰り返し味を染み込ませる。味が入ったらできあがり!
・味付け数の子
*塩抜き用↓
水3000ml
塩 小さじ2
*味付け用↓
酒 400cc
薄口醤油 50cc
みりん 50cc
削り節 20g
【作り方】
1. 大きめのボウルに水3000mlと塩を入れよくかき混ぜ、塩が溶けたら数の子を入れる。
2. 室温で一晩置き、味見をして丁度良い塩加減になっていれば塩抜きは完了です。(塩分が強ければ塩水を変えて再度塩抜きをします。抜きすぎると苦味が生じるので注意!抜きすぎてしまったら、塩抜きの塩水よりも濃い目の塩水に1~2時間浸すと苦味が和らぎます)
3. 味付け調味料を作ります。鍋に酒を入れ煮立たせアルコールを飛ばします。みりん、薄口醤油を加えて再び沸騰するまで火にかけます。
4. 沸騰したら火を止め削り節を加えます。冷めたらこし器などで削り節を取り除きます。
5. できあがったタレに塩抜きした数の子を浸し、約6時間ほど浸し味を見ながらお好みの味になれば完成です。
・なます
人参 150g
塩 適量(しんなりさせるための塩)
ゆず 1個
砂糖 大さじ3
塩 小さじ1/2
酢 50cc
【作り方】
1. 大根と人参は皮を剥き千切りorスライスする(今回は輪切りでスライスし、花形で抜きました✿)
2. 大根と人参全体に塩をまぶし、しんなりさせる。→しんなりしたら絞る。
3. 鍋に砂糖、塩、酢を入れ火にかける。沸騰する手前で火を止め絞った大根と人参にかける。(殺菌効果)
4. ゆずの頭の部分を落とし、身をスプーンでくり抜いて果汁も大根と人参にかける。(皮の部分はお重に詰める際に器として使うため取っておく!)
5. ゆずの頭の部分の皮を削いで千切りにしなますにまぶす。粗熱をとり冷蔵庫に入れ味が馴染んだらできあがり!
・煮しめ
ごぼう40g
竹の子100g
人参(今回は金時人参と普通の人参を使用)200g
椎茸 3枚
絹さや 6枚
*人参のみ煮るときの調味料↓
だし汁400cc
砂糖 大さじ2
みりん 大さじ2
塩 適量
薄口醤油 大さじ1/2
*煮しめの調味料↓
だし汁 500cc
砂糖 大さじ4
みりん 大さじ3
酒 大さじ1
醤油 大さじ5
【作り方】
1. 蓮根とごぼうは切って酢水につける。(色止め)その後下茹でをする。(独特な風味を消す)竹の子・椎茸は好きなサイズにカットする。
2. 人参は飾り切りすると綺麗です!
3. だし汁、砂糖、みりん、塩を合わせて人参を入れ少し煮て、最後に薄口醤油を加え柔らかくなるまで煮る。(綺麗に仕上げるため人参のみ別で煮付けます)金時人参と普通の人参を混合で調理する場合、金時人参のほうが早く火が通るので後で投入しましょう!
4. 続いて1でカットした食材を煮ます。だし汁、砂糖、みりん、酒を合わせ火にかけ1の食材を投入します。沸騰してきたら醤油を加えさらに煮ます。程よく味が入ったら火を止めて完成です。
・海老の煮付け
酒 大さじ2
みりん 大さじ2
塩 小さじ1/8
醤油 小さじ1/2
【作り方】
1. つまようじで海老の背わたをとる。海老の背わたの取り方
2. 海老の尾の先を切って黒い水を出す。(尻尾まで綺麗な赤で仕上がるため)
海老の尻尾 水分の取り方
3. 海老の殻を剥き、軽く塩で揉み流水で洗う。
4. 鍋に海老を入れ、酒、みりんを加えて煮立たせる。
5. 煮立ったら弱火にして海老を裏返す。色が変わったら醤油、塩を加えて火を止め余熱で火を通す。味が染み込むようキッチンペーパーで覆い完成。
・きんとん
クチナシの実 3個(綺麗な黄色に仕上げたい場合は入れる。なくてもOK)
砂糖 100g
みりん 大さじ4
はちみつ 大さじ2(なくてもOK)
塩 2つまみ
【作り方】
1. さつまいもの皮を剥いて3cm幅にカットし10分水にさらす。
2. クチナシの実をお茶パックに入れて割る。
3. 鍋に芋とお茶パックに入れたクチナシの実、水を入れ火にかける。柔らかくなったら水気を切りクチナシの実は取り出す。
4. さつまいもに砂糖を加え木べらでつぶす。(今回私はしゃもじと手でつぶしました!芋の粒が残る触感が好きな方はこの方法で、滑らかな触感のほうが好きな方はザルなどで裏ごしして下さい☆)
5. つぶした(裏ごしした)さつまいもにみりん、はちみつ、塩を加えて弱火にかけながら練る。お好みの固さになったらできあがり!
・鰤の照り焼き
醤油 大さじ4
酒 大さじ2
みりん 大さじ1
砂糖 大さじ1/2
油 適量(焼くとき用)
【作り方】
1. 醤油、酒、みりん、砂糖を合わせて鰤を漬け込む。
(今回は約5時間漬け込み煮詰めたタレをかけなくてもいいくらいにしっかり味が付きました)
2. フライパンに油をひき漬け込んだ鰤を表になる面から焼く。(綺麗に仕上がるため)
3. 火が通れば完成。お好みで漬け込んだタレを煮詰めて鰤にかけてください。
・伊達巻
白はんぺん1枚(80~100g)
ホタテ 2個(なくてもOK)
砂糖 大さじ4
酒 大さじ1
みりん 大さじ1
塩 少々
油 少々
【作り方】
1. はんぺんとホタテをミキサーでペースト状にする。その際これだけではミキサーが回らないのでみりん、酒、卵1個を加え回す。
2. ある程度混ざったら残りの卵3個を入れ再びミキサーにかける。
3. ある程度混ざったら残りの調味料(砂糖・塩)を入れ再びミキサーにかける。
4. ザルでこす。
5. フライパンに油をひき温めながらキッチンペーパーでまんべんなく油を塗る。
6. 濡れふきんを用意し熱したフライパンを数秒のせる。(フライパンの温度を均一化し、焦げ目にムラがでないようにするため)
7. フライパンを弱火にかけて4でこした卵を入れ、アルミホイルを被せて蒸し焼きにする。
8. (卵の表面がフツフツしてくるのを目安に)焼き目が付いたら裏返し薄く焼き目をつける。
9. 鬼すにクッキングシートを敷き焼けた卵をのせる。巻き始めに約2cm間隔で4本程度切り込みを入れ巻きやすくし巻いていく。巻き終わったら両サイドを輪ゴムで止め巻き終わりの部分を下にして冷蔵庫で冷やしながら形付ける。(このとき両サイドからだし汁が出ないようクッキングシートを鬼すに押し込むことをおすすめします!)
10. 形がしっかり付いたらお好みの幅にカットし完成!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
まだ2022年が始まったばかりですが、来年のお正月にはぜひおせちを手作りして家族、友人に振舞ってみてはどうでしょう。おせちの意味を知って、自分で作ってみたおせちを振舞うお正月はいつもと違い特別なお正月になったような気がします。あまり料理をしない私がいきなりおせちを作り始めたので家族も驚いていましたが、喜んでもいました(笑)知らなくても困らないので今まで自身もあまり興味がなかったのですが、いざ作ってみるとお正月感がいつもとは違い、意味を知ることで晴れやかな気持ちでお正月を感じることができました。日本の素晴らしい伝統の一つだと思うので、ぜひ一度トライしてみていただきたいと思います!
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